WEB CLAP LOG 02

今年の冬

 今夜はとてもとても寒い。猫が丸くなるように二人寄り添って眠る。特に今日はお互いのぬくもりが恋しい。
 学園で先輩後輩として過ごした日々から二人とも少し大人になって。こうして二人夜を過ごす事もある。最初は特別な日に。今はこうしてなんでもない普通の夜も。
「あ、総司さん、雪ですよ、雪。ねぇ見て下さいってば。」
 ふと目を覚ました千鶴が外に降る雪に気付いて沖田を揺り起こす。
「…うー、なに?ちづる?」
「雪ですよ、雪。」
 満面の笑みを浮かべ千鶴が沖田に外を見るように促す。確かに雪が降っている。寒いはずだ。雪にはしゃぐ千鶴を沖田は眩しそうに眺めて微笑んだ。
「総司さん?」
「ああ、うん。幸せだなって思って。雪を見てる千鶴を見てると、こうしてなんでもない普通の日にも千鶴と過ごせるってすごく幸せだよ。」
 そう本当に幸せそうに自分を見つめる沖田に千鶴の頬が赤く染まる。そんな千鶴の頬に沖田の手が伸びてするりと撫でた。
「いつかさ、こうして毎日過ごせるようになりたいなって思うんだ。」
 沖田の言葉に、千鶴の頬はさらに赤みを増し、そっと俯くと頷いた。沖田はその仕草に破顔して千鶴の腕を引く。自分の胸元に引き寄せるとぎゅっと抱きしめた。起き上がって冷えた身体に自分の体温を分ける様に。
「あの、冷たくないですか?」
「ううん。そんなことない。千鶴はね、僕にとって一番暖かいんだ。街中の暖かい物を全部かき集めたって、千鶴のぬくもりにはきっと敵わないよ。」
 そんな沖田の言葉に千鶴がクスクスと笑う。
「私って、総司さんの湯たんぽなんですか?」
「うん、そう。僕だけの、ね。」
 啄ばむ様なキスをしながら、お互いのぬくもりにまどろんでいく。
 今年の冬も沖田の心に、千鶴との日々が降り積もる。それは雪のように綺麗だけど、とても暖かい。その綺麗なものを抱きしめて、二人眠りに落ちた。



end.

20110123無料配布【LoveSongs】より


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